唾液は単なる水ではありません。唾液は「天然に傷薬」と呼ばれるほど、体に良い成分が含まれているのです。
唾液に含まれているヒスタチンは傷の修復に貢献しています。指などを小さく切ったとき「唾をつけて治す」のは医学的に理にかなっているのです。
また唾液にはリゾチームや分泌型免疫グロブリンAという成分も含まれていて、いずれも抗菌作用があります。そしてハイドロキシアパタイトは、虫歯菌によって傷ついた歯の表面を修復します。
唾液の作用のうち、口臭と関係するのは抗菌作用と虫歯修復です。
抗菌作用が低下すると細菌が増え、それに伴って悪臭を放つ揮発性硫黄化合物が大量につくられてしまいます。口臭の「生暖かいような臭さ」は硫黄の臭いなのです。
また虫歯自体が独特の臭いを放ちます。よって、唾液が減って虫歯の修復力が低下して虫歯になり、口臭が出てくるのです。
唾液も体液の一種なので、体内の水分が減ると唾液量も減ります。夏は汗をたくさんかきます。その分の水分補給ができていないと、当然ですが唾液も減ります。
ストレスがかかると、人の脳は唾液量を減らそうとします。例えば重要な会議でプレゼンテーションをするとき、緊張して口のなかがネバネバすることがあると思います。これは緊張というストレスによって唾液の量が減っているからです。
唾液は「天然の傷薬」なので、人の脳は本能的に、敵に遭遇したら傷を負うことに備えて唾液の成分の濃度を高めておこうとします。唾液の濃度を高めるために、唾液中の水分を減らすのです。
これがストレスを受けると唾液量が減るメカニズムとされています。
夏の暑さでストレスがたまることでも、唾液を減らしてしまいます。
また歯科クリニックによっては口臭の検査をしてくれます。
口臭を計測する特殊な機械です。口臭の原因は先ほど紹介した揮発性硫黄化合物のほか、メチルメルカプタンやジメチルサルファイドなどがあります。オーラルクロマはこの3種類の成分濃度を計測します。濃度が高いほど口臭が強いことがわかります。
オーラルクロマと同じ成分を計測できます。
唾液を暖めて口臭の強さを測ります。オーラルクロマによる検査を口臭測定検査と呼ぶのに対し、インキュベーターによる検査は主観的口臭検査といいます。
この特殊な顕微鏡で唾液をのぞくと、口臭を発生させる細菌を撮影することができます。つまりブラッドフォード位相差顕微鏡を持っている歯科クリニックに口臭相談をすると、口臭原因を肉眼で確認できるわけです。
さらに、歯医者が患者の歯周ポケットの深さや、軽い刺激で出血が出るかどうか調べることで、虫歯や歯周病の進行度がわかります。虫歯や歯周病が進行していて、なおかつオーラルクロマ検査などの結果も悪ければ、虫歯または歯周病が口臭を引き起こしていると特定できるわけです。
このように口臭を客観的に判定できると、「予防しよう」という気持ちがわいてくるはずです。口臭予防の意識を高めるためにも、歯医者に診てもらったほうがいいのです。